アナログレコードの12インチLPには、音声データが片面に約30分間記録されています。レコードプレーヤーは一分間に33と1/3回転(3分間で100回転)するので、 片面全て再生すると約1000回転することになります。CDやDVDにもレコードの溝と同じように円周に沿って延々と、一本の道のように細かいデータの溝(ピット)の列がありますが、 この列はディスク内を一体何周くらいするのでしょうか?
決まった大きさの円周内を何周できるか、という話になると、その列一本の物理的な「幅」が大きなカギになります。もし、この列がタコ糸くらい(幅約1mm)の幅だとしたら、 光ディスクのデータの書き込みスタート位置(中心から22mmの箇所)から巻き始めるとたった36周でいっぱいになってしまいます。長さにして約93cm。これでは、そんなにたくさんの データを記録できないですよね。 それでは、一般的な釣り糸くらいにまで幅を細くしたら、何周できるでしょうか? 一号の釣り糸だと幅が約0.18mmで、ディスク上を200周まわり、距離にして約5mになります。ずいぶん増えましたが、これでもまだまだアナログレコードにも遠く及びません。
実際には光ディスクは、もっともっと細かく、目に見えないくらいの大きさでデータを記録しており、CDではデータの列がディスク上を約2万3000周もしています。距離にすると約5.8㎞です。 直径12センチほどのディスク内で2万3000周するには、列の幅は1.6μ(ミクロン)以下、ミリメートルに換算すると0.0016mm以下に設定する必要があります。 これが、DVDになると一体どうなるのでしょうか? CDのデータ容量が約700MBなのに対して、DVDが約4.7GB(4700MB)なので、単純計算でも6~7倍のデータが入っていることになります。 ですが実際には、DVDのデータ列の長さはCDの2.5倍程度で、ディスク上を約6万周、距離にして約15kmになっています。 それではどうやってCDの6倍~7倍ものデータを記録しているのでしょうか? ここでもう一つの尺度である「データ溝(ピット)一つ一つの長さ」、について比べてみましょう。
右の拡大図にあるように、CDやDVDのデータ溝(ピット)の長さは一定ではありませんが、CDの場合はおよそ0.9ミクロン~3.2ミクロンで、 これに比べてDVDでは最小0.5ミクロンです。データ列の幅が細く、周回数が多いだけでなく、一つ一つのデータを短い間隔で 収めることができるので、CDと同じ大きさでも6~7倍のデータを保管しておくことができるのです。さらに、DVDには二層のディスクもあります。それこそ、掌に乗るような大きさのディスクに、 百科事典何冊分ものデータが、いとも簡単に入ってしまうのです。普段何気なく使っているCDやDVDですが、実はとんでもなく高い技術を結集させた、精巧緻密な製品なんです!